演 題:第 3 回 21 世紀アジア塾講演会「中国観察報告」第5回

📅 日時:2025年7月18日(Fri) 14:00〜15:30

👤 講師:結城 隆氏
🎓️肩書:多摩大学客員教授
🎥 開催形式:会場開催(オンライン同時配信あり)

講演会概要

世界最大の製造業生産能力を持つだけでなく、世界最大の市場を持ち、かつ、先端技術に不可欠なレアアースや磁性鉱物において絶対的な世界シェアを持つ中国は、トランプ政権との関税戦争において、有利なポジションに立っている。中国にとっての課題は、トランプ大統領の面子を保ちつつ、いかにして「城下の盟」に持ち込むかだろう。中国経済は、「関税棍棒」に打たれ、4月から5月にかけてよろめいたものの、直ちに態勢を立て直した。企業の景況感も改善傾向を見せている。おそらく上半期のGDP成長率は5%前後となるだろう。

今年下半期について予測すると、内政面では、①中国製造2025の完遂、②第四次産業革命の加速、③就業問題への取り組みが課題となるだろう。最大の悩みの種は③である。外交面では、①ウクライナ戦争終結に向けた周旋、②中東安定化、③一帯一路構想参加国との更なる経済関係の強化が図られると思う。特に②について中国の果たす役割は大きい。

先読みが難しい時期ではあるが、世界の政治経済に強烈な地殻変動が起こっていることは間違いない。中国についてみれば、今年の秋が大きな節目となるかもしれない。ひとつは、9月3日に対日戦勝80周年を迎えること。この軍事パレードに、トランプ大統領とプーチン大統領が招かれる可能性も皆無ではない。もうひとつは同じく秋に予定されている四中全会である。そして、秋のイベントの前哨戦となるのが7月の北戴河会議である。習政権4期目の是非が討議される可能性もある。

翻って日本についてみると、日本はトランプ政権の対中関税敗戦のとばっちりを食らうリスクが高まっているように見える。物価高の根本的原因が円安であるにも関わらず、金利を引き上げられないため、消費税減税が俎上に上がっているが、これは議論のすり替えだろう。建設的な議論が交わされない中、日本の政治・経済はますます脆弱と不安定なものになってゆくのではないか。

講師プロフィール

福島県郡山市出身。一橋大学経済学部卒業。1979年日本長期信用銀行(株)勤務。
1999年ダイキン工業(株)勤務。2013 年から荒井商事顧問。
2021年から多摩大学経営情報学部客員教授として中国経済、ユーラシア論を講じる。

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