演 題:ウクライナ戦争の行方 =プーチン・ロシアの近未 来と日本のあるべき対露政策

📅 日時:2025年7月3日(Thu) 14:00〜15:30

👤 講師:杉浦 敏廣氏
🎓️肩書:伊藤忠総研・外部委託研究員
🎥 開催形式:会場開催(オンライン同時配信あり)

講演会概要

ロシア(露)の起源はキエフ朝ルーシです。ルーシとはヴァリャーギ(ヴァイキング)ルーシ族のことで、彼らがスラブ人を支配下におき、ドニエプル河中流のキエフを占領してキエフ・ルーシを建国(882年)しました。
このルーシがロシアの語源であり、ロシア人がキエフ・ルーシを創設したのではありません。
ゆえに、プーチン大統領が「キエフはロシア人の地である」と主張する歴史的根拠は存在しません。

旧ソ連邦は1922年12月に成立しました。意外に思われるかもしれませんが、旧ソ連邦の対外政策の基本理念は≪平和共存≫でした。その象徴が石油・ガス資源であり、過去50年以上にわたり、欧州諸国にとってソ連・ロシアは信頼に足る石油・ガス供給源として、相互互恵の精神に基づいた安定的な資源ビジネスを展開してきました。

筆者がロシアに関心を持つ契機となったのは、西ドイツ第4代首相W.ブラントが提唱した Ostpolitik(東方政策)です。ブラント首相は1971年にフライブルクを訪問し演説。Ostpolitik を熱く語るその姿に接し、将来ソ連と関わる仕事をしてみたいと決心した次第です。

≪築城三年、落城一日≫。ソ連・ロシアと欧州の信頼関係を破壊したのが現在のプーチン大統領です。

ドイツと旧ソ連邦・新生ロシア連邦の関係は、日本が隣国ロシアといかに向き合うべきかを考えるうえで、一つのヒントを与えてくれると考えます。今回はドイツの事例を通して、日本のあるべき対露政策を考察したいと思います。

講師プロフィール

1973年3月 大阪外国語大学ドイツ語学科卒 (学生時代、西独フライブルク大学経済学部留学)
1973年4月 伊藤忠商事入社/輸出鉄鋼部輸出鋼管課配属、ソ連向け鋼管輸出担当
海外ロシア語研修受講後、モスクワ・サハリン・バクー駐在。
伊藤忠商事/モスクワ事務所 2回計6年間勤務 (貿易業務従事)
ソデコ(サハリン石油ガス開発)サハリン事務所 2回計7年間勤務。
(サハリン-1オホーツク海石油・ガス探鉱開発プロジェクト従事)
伊藤忠商事/アゼルバイジャン共和国バクー事務所 6年8カ月勤務。
(カスピ海石油・ガス探鉱開発プロジェクト従事)
2011年4月 バクーより帰任。
2011年5月(一財)日本エネルギー経済研究所出向、研究主幹。
2015年3月 伊藤忠商事退職。 前(公財)環日本海経済研究所共同研究員
著書 : 『カスピ海のパイプライン地政学』 (ユーラシア文庫/群像社)
共著多数 : 『アゼルバイジャンを知るための67章』 (明石書店) 他
論文多数 : 『油価下落の地政学』 (世界経済評論 2020#5)
『対露経済制裁下の露経済・エネルギー事情』 (CISTEC Journal 2024.11)

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